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ムーの予想的中の瞬間(2023年10月5日 生配信)
わたくし文学YouTuberムーは、宣言通り、本年のノーベル文学賞の予想を的中させることができました。
発表の1か月以上前から、YouTube動画での配信という、誰の目から見ても明らかに証拠が残る方法を使って、たった1人の作家の名前を挙げ、「なぜ受賞すると断言できるのか」という根拠を明確に述べた上で予想を的中させた【史上初の快挙】となります。
信じられない方もいらっしゃるかもしれませんが、こんなことが実現できた人は今まで1人もいなかったのです。
毎年ノーベル文学賞の発表が近くなると、Twitter上で自分の予想を慌ててツイートする人が出てきますが、Nicer OddsやLadbrokesなど有名ブックメーカーの上位に来ている作家名を見て恣意的に選んだ名前を挙げただけのツイートであったり、「なぜその作家が受賞するのか」という根拠ではなく、「〜な気がする」という憶測や「好きな作家だから」という希望的観測のツイートをしている人しか目にしたことがありません。
また、複数名(酷い時は10名以上…)の作家の名前を予想として挙げ、その中の1人が受賞したので「予想が的中した!」と恥ずかしげもなく記事に書いてしまう厚顔無恥な著名人もいます。(あえて名前は書きませんが)
1年かけて入手したヨンフォッセ作品の英訳版
昨年2022年の段階で、ノーベル文学賞の選考委員の中にヨン・フォッセの翻訳者(Steve Sem-Sandberg氏)がいることを発見した私は、今年2023年に入るとすぐに、ヨン・フォッセ作品の英訳版を海外から取り寄せ始め、入手してはひたすら読み耽りました。
ちなみに、ヨン・フォッセ作品の英訳版のいくつかはKindleでも入手可能です。上記のように書籍の取り寄せはしましたが、実際に私が読み進めたのはKindle版が主でした。
ヨンフォッセ作品のページを開くと...
ヨン・フォッセの作品は、ページを開くとすぐに、改行とピリオドのない文字の塊が目に飛び込んできます。
初めてこれを目にして圧倒された人はきっと多いでしょう。私の場合も思わずのけぞってしまいました笑。しかし同時に、文学好きの人であればある既視感を覚えるはず。そう、ウィリアム・フォークナー、ガルシア=マルケス、ジョゼ・サラマーゴ...... 過去にノーベル文学賞を受賞した作家の文体の匂いがするではありませんか。
いざ作品を読んでみると、これが本当に面白い。
例えば、今のところ私の最も好きなヨンフォッセの小説作品『Melancholy I-II』。冒頭から4、5個の短い文章のセット(?)が執拗なまでに延々と繰り返される。最初は戸惑いつつ、それでも読み進めていくと、ふとあることに気がつく。同じ文を繰り返しながらも、語り手の状況がほんの少しずつ変化していて、さらに、繰り返されている文章の響きが(文自体は全く同じにも関わらず)あきらかに変化しているのだ。
ヨン・フォッセの小説作品を読んでノーベル賞受賞の確信を深めた私は、さらに戯曲作品への理解を深めるため、女優の万里紗さんに相談することにしました。「イプセンの再来」「21世紀のベケット」とも評されることのあるヨン・フォッセの戯曲作品は、近代戯曲の歴史において、どのような位置にあるのか?10歳の頃から舞台の世界に関わり続け、現代の舞台を実践されている万里紗さんにお話を伺ってみたい。
7月に打診して約2年ぶりに再会した万里紗さんは、動画での対談を快く了承してくださり、さらに、近代戯曲のオススメとしてハロルド・ピンターの作品を紹介してくださいました。
戯曲作家としてのヨン・フォッセについて万里紗さんと対談
1ヶ月の準備期間を設けて、8月中旬、イプセン『人形の家』とベケット『ゴドーを待ちながら』の2作を新訳で再読してから挑んだ対談の撮影は、非常に実り多いものとなったと自負しております。
イプセン、ベケット、フォッセ、それぞれ半世紀ほども時代の異なる3人の作家を、現代の舞台を実践されている万里紗さんの視点もお借りして、一つの流れの中で一挙に見ていくことによって、それまで表面的にしか見えていなかった戯曲の世界がよりくっきりと浮かび上がってくるようでした。
万里紗さんには、この場で、ノーベル文学賞の発表日当日の生配信への参加をお願いしました。
発表日当日の生配信
当日の生配信では発表1時間前からヨン・フォッセ作品がいかに斬新かのトークをしながら発表の瞬間を迎え、まさに完璧な形で的中をさせたと思っていたのですが(続く)